祖父の桜
新築/東京都世田谷区
「とりあえず敷地を見に行きましょう」と子世帯の主人に言われて瀟洒な住宅街を歩くこと5分、
鬱蒼とした木々に覆われた邸宅が現れる。
30mを越える桜の大木が3本、ヒマラヤ杉や赤松なども点在する、23区内の建築というと小分けされた土地が多いがここは違う。
どこか泰然とした雰囲気がある。
大木がそれを感じさせるのか、趣のある家がそれを感じさせるのか
建て替えは古い物を壊し、新しい物を造ること。
心機一転という心持ちにもなるが、この場所はそうではないと感じる。世代が移りつつも何が残せるだろうか。
(後日談)
桜の大木はこの土地1代目の祖父が植えたという。
樹齢50年を超えていて、残念ながら倒木の恐れがあった。
家が建つと重機が入れないという事もありこの機会に伐採することになった。
数年後、それはダイニングテーブルに姿を変えて帰ってきた。
ソメイヨシノは家具材向きではないし手間と時間が掛かる提案だったが、住まい手ものってくれて製材も見に来てくれた。
そして今 祖父の桜で 子、孫、曾孫が食事をしている。
DISCRIPTION
建築地
東京都世田谷区
概要
仕様
職方