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世代間の異なる価値観
コラム/諸橋義徳
2021.09.10
先日父親から電話がありました。「トイレが壊れそうだから交換したい」
今回はトイレ交換の話からはじまった温熱環境、経済観念、人生観まで膨らんだ世代間の異なる価値観のお話しです。
実家は築50年の木造住宅。トイレだけでなくそもそもが色々傷んできています。そして50年前の住宅は断熱なんて考えられていません。断熱材の入っていない床の冷たさ、単板ガラスの窓から伝わる冷気、激寒です。築50年の家の直したい所を数え上げればキリがありません。
親世帯が1940年代の70代、息子の私が1970年代の40代。親子関係としては今の社会はどうだとか子供達の教育はどうとかをたまに会って熱く話すという関係です。
私は仕事柄、親子間のリアルな心情風景によく立ち会います。2世帯住宅や土地建物の相続や贈与。介護のためのリフォームなどなど。お金と人生、とても興味深く一筋縄にいかない内容ばかりです。
私は父親に言いました。「この先を考えてトイレだけでなく 洗面、脱衣の工事もやってしまおう!」そして居住性と断熱性を高めるリフォーム案をもって説明しました。
これがきっかけとなり 後日熱い話会いに発展していきます。
父「トイレだけで十分じゃないか?」
母「あんたの好きにやってもらって良いけど 最近はお墓も高いからね〜」
ハッキリものいう両親です。とりあえずお金がかかることに否定的
やはりそうきたか
「じゃあ こっちからはなしていこうか」
息子「今回の家のリフォーム案で身体への負担が減るんだ つまり弱っていくのを最小限にしたいんだ。健康を維持して好きなこの家で生活しつづけるためなんだよ!」
親子なのでハッキリ言えます。
親「断熱?寒ければ我慢すればいいし、生活スペースだけエアコンガンガンいれればいいだろう。今更(規模の大きい工事は)面倒くさいよ。」
30年前の暖房設備と比べて今のエアコンの高性能さで満足しています。否定はしません。
息子「今はそんな事言っている時代じゃないんだ、生活スペースを断熱することで温度差を、、、ヒートショックは、、、ランニングコストが、、、健康寿命が、、、建築プロらしい説明から いつしか話は 地球環境は、、、 次世代(孫達)の将来は、、、」
母親「いざとなったら施設に入ればいいと考えていた 墓も高いしお金は少しとっておかないと」 息子(お墓ってなんだろう?それより今の生活にこそ・・・・)
息子「施設に払う1年分のお金を家にかけるだけだよ。それでより家で永く暮らせるようになるはず。友達も孫も来るこの家で過ごす時間が永いほうが幸せじゃない?」
両親「そうかわかったよ。考えてみるさ!」
工事内容、最近の設備や補助金、お墓の値段から始まり、いろいろ話しました。
結果 親は決心してリフォームを行う運びとなりました。
建築って人生に与える影響が大きいと実感しました。
ぜひ 皆さんも親や子供たちとこれからの生活の事、今考えている事など話し合ってみてください。意外とそれに合わせた建築のあり方がありそうです。
工事の様子は引き続き紹介していきます。