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vol.5 木の話。~木材の性格と、建主さんとの相性~
コラム/牧島美玲
2021.06.17
さて 今回は構造材でなく 家の中で使われる内装材について。
実は、内装材の種類の選定するとき 木材の性格はもちろんですが
一番は、建主さんの住まい方や性格、求める雰囲気とのコーディネートを大切にします。
では「木材の性格と、建主さんとの相性」とは?
床材を例にしてみましょう。
ヒノキや杉、サワラ、マツといった針葉樹たち。
やさしい肌色の色合いが、なんともココロを落ち着かせる、これぞ日本の木!
これらの木材はやわらかく、歩いても疲れない。
肌ざわりも暖かく 思わず床にごろんとしたくなります。
その色合いや質感はやさしい雰囲気をつくり出します。
また、これらは日本家屋で長らく使われてきたなじみのある材種ですのでどことなく和の雰囲気をかもしだします。
床に直接座る生活、ダイニングテーブルより座卓、ソファよりも床にゴロゴロという建主さんに、ぜひお勧めです。
しかし、やわらかいためにキズがつきやすい。
キズを気にされる方もいますが、そこは考え方次第
無垢の木材なら キズがついても中のベニアは現れませんし
木の色は時とともに飴色に色づき、落着きを増します。
キズも色も合わせて それは味わいです。
新建材と呼ばれるものは経年変化=劣化ですが
無垢の材は経年変化≒味わい になり得ます。
そういった変化をざっくりと楽しんでください。
次に ナラやカバ桜、ウォールナットなどの広葉樹たち。
これらは目が詰まって、堅さがあります。
色ムラや狂いが少なく、かっちり安定した印象があります。
まさしく「堅気(堅木)の仕事」
その特徴からテーブルや椅子によく使われる木材です。
家具も含めて統一感を出したい、洗練された空間を作りたい、
そういう審美眼の強い方に向いた木材です。
そして広葉樹の面白さは種類による色や雰囲気の違いが大きい。
白味がかったカバ桜なら明るいさわやかな空間に、
濃い茶色のウォールナットならば重厚な雰囲気に
求める空間によって、種類を選ぶ楽しみがあります。
このように材の性格と、建主さんの生活スタイル、求める雰囲気で
使う床材が違ってきます。
こんな感じの家がいいな、とパンフや写真をめくって感じる裏には、
そこで使われている材種による要因が大きいです。
言葉だけでは言い表せない、雰囲気 というところに木材の違いは大きく影響しています。
ちなみに設計者としては、住まい手のかもしだす雰囲気から
なんとなく「ヒノキ」っぽいな、とイメージすることがあります。
ヒノキ:品があって見た目やわらかいけど芯が強い感じ。
ナラ:きっちりしたA型っぽい感じ。
動物占いならぬ木材占い。
これはあくまで主観です(笑)
でも、自分がどの木材の雰囲気が近いのか、そんなことも考えてみると楽しいです。
案外、建主さんの印象と、生活スタイルなどから選ばれる木材は
一致していると思うのですが・・・どうでしょうね♪
たとえとして床材を出しましたが、家全体では
壁や天井、家具、細かなところでは巾木や窓台など髄所に木が使われます。
それらはやはり建主さんの性格と生活に合った床材とのバランスを見ながら、
全体をコーディネートしていくことになります。
自分の家、自分の生活、自分の性格にあった木材。
そんな目で材木をみてみると、より一層楽しいと思います♪
(牧島美玲)