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vol.12 現場監督は見た! ~水道屋編~

コラム/諸橋義徳

2021.06.17

現場監督シリース゛の第三弾
今回は「水道屋」さんについてです。


「水道屋」皆さんがイメージし易い業種ではないでしょうか。
家づくりにおいて水道屋さんはまさに水に関わるライフラインを整えていく仕事です。一滴の水 を漏らさず・・・。大変なお仕事です。


私(現場監督だった)が水道屋さんに持っている印象は「いつも土掘ってるなあ」というのと 「トラブル処理が大変だ」というもの。


「土堀」について
水道屋さんは言います。
「オレらの仕事の半分以上は穴堀なんだよね」
確かに、水道屋さんはよく土を掘っています。
保温された水道管や給湯管、直径100㎜以上の排水管を地面に埋めていくのですが、 上を車が通るか?土は凍結しないか?などで埋める深さが変わったり、水の勾配を計算したり、狭小地などはその経路を考えるだけで結構大変。
それらの条件などが重なると深さ1m以上掘ることもよくあります。
そして 土を掘るのってやってみると非常に骨が折れます。小石一つにぶつかっても進まないあの悔しさ・・・。
それを手堀(重機なし)で一日掘っている姿を見ると、何か他に方法はないのか? と考えてしまいます。(ありませんが・・・)
時に熟練した職人さんからは「ここは関東ロームだ」とか「田んぼだな、此処は」とかとやたらに地質に詳しい楽しい方もおられます。


そして「トラブル処理」
現場で起こるトラブルNo.1は漏水。水道トラブルは大概が緊急性を要してしまいます。
電気やガスは遠隔操作やアドバイスで一時を凌げる場合も少なくありません。 ただ水道だけはそうはいかない。
とりあえず現地に行いかないと対処できないのが水道トラブルです。
そんな時、なにをしていても、まず現地に呼び出されてしまうのが水道屋さん。
それだけに力量のある水道屋でないと 何回も現場に呼び出される羽目に。
あの職人さんは良く来てくれる ではダメなんですね。
顔も覚えられないが一番いい。サッカーのゴールキーパーと同じです。


水道と言うのは字のごとく「水の道」
精密機械でもないですし、本来はアナログでシンプルな仕組み。
だからこそ誰でも対処できていいと思うのですが  配管の素材や太さ、部材の種類は多種多様、それらの組み合わせを考えるとすごく複雑です。
ボタンひとつで解決しない。簡単そうでも素人ではなかなか手が出せない。
トラブルに対する想像力、慎重さと技術力
全て揃っていないと務まらないのが水道屋。

あと最後に 普通知りえない水道屋業界についてちょっと紹介します。
水道屋さんの業界というのは意外に複雑?です。
原則その地域の業者でないと工事ができなくなっています。
そのせいか地域による縄張り意識が強いように感じます。
地域ごとに施工方法、工事費に関しての特別ルールがあったりします。

知合いの水道屋さんに
「こんど○○(地域名)でお願い!」と言うと
「ああ、あの地域では□□水道がしきっているからなあ」
というお話がしゅっちゅうで、
「ああ、あそこは△△の設備屋に話しを通さないと!」
「あそこは××なやり方をしないと!○△さんがうるさいんだよ!」
なんて話がいつも出てきます。
そんな時には、工事費以外に「紹介料」なんて理解しがたいお金が余分にかかる場合があります。

古い!なぜ水道業界はこんなにシステムがアナログなんでしょう。
まあ トラブルがあったときに駆けつける範囲しか仕事してはいけませんよってことから 発生しているのかな?というのはなんとなく分るんですが
傍から見ると分りづらすぎ!
不透明で複雑な建築の社会。時に理解しがたい場面にも多く遭遇します。
そこを透明化していきたいですね。

でも現場で職人さんが仕事に向き合う姿勢はいたってシンプル。
「この液体をいかに漏らさずに流すか」の為、ひたすらに穴を掘りつづけ、
配管づくりと器具付けに勤しんでいます。


(諸橋 義徳)

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