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宝の山
KIMU-WOOD/木村淳一
2012.12.13
日頃お世話になっているTさんから、
「二日後に解体される家具屋さんがあって、
作業場にあるもので気に入ったものがあれば持って帰ってよいのだそう」
とのことで、Tさん、大工さんに同行させてもらいました。
高いビルに囲まれ取り残されたように建つ古い二階建ての民家。
一階が作業場。
家具屋さんは先代がやっていたそうで、作業場が使われなくなって
かなりの時間が経っているよう。
置かれていた材料や道具の上に積もっている埃が
長い時間使われていなかったこと物語っていました。
作業場にはたくさんの種類の鉋、鋸、金槌、ノミ…使い込まれた道具が数多くあり、
今はあまり見かけないようなものありました。
年代もののプレーナー、電気を入れると動く!使える!
コロンとしたフォルムも今の時代にない可愛いさ。
大工さんが引き取って行きましたが、持ち帰る時の後ろ姿は、
中型犬を散歩させているような感じにも見えました。
私たちは鉋やハタガネ等々を頂戴しましたが、ほかに
用途不明だけど可愛くて、持って帰ってきてしまった道具があります。
上から見ると
「ウタ」って何だろう?
横から見ると
鉄製?なので、重さがそれなりにあります。
まわして何かをするんだろうなあ…くらいの事しかわかりません。
この道具の用途、いつか解明したいです。
私はあまり実用的でないものが気になる傾向があるようです。
ハタガネの先だけをもらってきたりもしました。
古い物好きにはたまらない時間でした。
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作業場にはそのほか
「新刊用書架」「低書架」と書かれた治具が壁に掛けてあったり、
「哲 学」と書かれたプレート(分類を示すため図書館の棚に貼られているもの)
があったことから
「家具屋さんは書架をつくる仕事もされていたんだな」とか、
いろいろな道具に日付らしき数字が刻印してあるので、
「記録するのが好きだったのかな」とか、
使用済みのプレーナーの刃がたくさん出てきたことから
「捨てられない性格だったんだな」とか、
家具づくりに直接関係ない道具も結構あり
「ちょっとした電気修理なんかは自分でやっていたんだな」とか、
家具屋さんの人となりの一片を感じられた気がしました。
「その人らしさ」って、否応無くにじみ出てしまうものなのですね…
いただいた道具、ありがたく使わせていただきます。